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2008年10月30日 (木)

高橋選手引退・・・

先日、高橋尚子選手の引退記者会見をテレビで見ました。僕がまだ走り始めて間もない中学1年生のとき、シドニーでの金メダルを勝ち取った高橋選手は、僕に少なからず影響を与えました。

引退記者会見を見ていて思い出した試合が一つあって、その記事がちょうど、ブログ形式の『セレブトーク』というニュースにありました。芸能人ゴシップって書いてあったけど、ちゃんとスポーツ系もあるんですね。

それは、今年三月十日の名古屋国際女子マラソンでのことで、27位の惨敗でした。そういえば、3月にしては暖かい日だったなぁ…なんてことを記事を読んでいて思い出しました。まぁランナーにとってみれば暑すぎる環境でしたけれどね。僕が高橋尚子選手の走りをこの目で見たのは、後にも先にもこの試合のゴールシーンだけだったんです。スタートには間に合わなくて、遅れて競技場に着いたときにはもう高橋選手は後方でした。でも、そのあとのことがとても印象的なのです。

ゴールの瑞穂競技場、開放されたスタンドはもう満員状態。その拍手と歓声の中、優勝したのは中村選手でした。高橋選手はそれから20分後、優勝者以上の拍手と歓声を満員の観客から受けつつ走り、ゴールをすると振り返って、コースに向かってか観客に向かってか、きれいにお辞儀をしてからトラックから去っていきました。

さて、今の文章は不自然じゃないですか?

普通の観客が、1位がゴールしてから20分もスタンドに留まるでしょうか?優勝から20分というと、テレビ放送が終わってしまう程の時間です。

僕が一番印象に残っている点はそこなんです。1位、2位、3位と次々にゴールする中、誰一人として…(いや、そりゃ何人かは立ち去ったでしょうけど)…その席を離れなかったのです。高橋選手が競技場に入ってくる瞬間を、高橋選手がゴールするその瞬間を、スタンドの全員が待っていたんです。

…人として、これほど幸せなことがあるだろうか?

僕はそう思いました。ランナーとしてならオリンピックで金メダルを取る方が幸せなのかもしれません。けれども、一人の人間として、これ程の観客が自分が帰ってくるのを待っている…これはひょっとすると、金メダルとは別の形での最高の幸福ではないか?波のように帰っていく観客を眺めながら、少し涙が出ました。本当に本当にすごいランナーだったと、思います。引退は残念でしたが、これからも活躍されることを祈り、そして応援しています。

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